2006年10月7日土曜日

照らされた金曜日


雨がざあざあ。

ゼミ室でバイトのことなどする。
ちょうど友達と居合わせたのでぽつりぽつり、話す。
「最近ね、どうしたって寝なくちゃいけないってことが分かったんだよ。
ほんとはあんまり寝たくないんだけどね」、という話を友達にしたら
・・・「歳とったね」と言われた。
でもかく言う友達もそのことにはずっと前から気づいていたらしい。
夜寝なかった分は、かならずどこかでとりもどしているんだよな。

『薬指の標本』/小川洋子を読み終えた。
バイト先の子がすすめていたので、読んでみた。
すき。うつくしい話だった。
浮かぶのは淡い色なのに
すぐそこにあるような現実感。
ひやりとするつめたさを感じた。
あやういのに、こわいのに、
どうしようもなく惹かれてしまう。
私もこういう世界に近寄ってみたいなあ。

映画化するらしい。これも是非観たい。

「自由になんてなりたくないんです。この靴をはいたまま、標本室で、彼に封じ込められていたいんです」

同時収録の「六角形の小部屋」もよかった。
小川洋子のほかの小説も読んでみよう。きっと好きだと思う。

ソファで本を読んでいたら、そのままうつらうつらして、眠り込んでしまった。
気がついたら夜。窓から入る風の冷たさで、目が覚めた。

中秋の名月。
雨降りだったからみえないかと半ばあきらめていたけれど
夜になると、しっかり月がでていた。
ピカッとひかっていて綺麗だった。つよさをもったうつくしさ。
こういうつよい光をもった月を以て
「月が照らす」というんだろうな、と思った。






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