たまにはいつもとちがう道を走ってみたほうがいい。
仕事の帰り道、ひとにおそわった抜け道を使ってみた。
たいして早いわけでもなかったけれど、
知らない道を走るのは気持ちがよかった。
トンネルを2つ抜けたあとで
ひろがった夜景がうつくしくて
なみだがでそうになった。
誰かに見せてあげたい。
○
そして某日。
ちょっとした冒険心から、帰り道、
てきとうにハンドルを切りながらアクセルを踏んでいたら
ずいぶんと遠くまで行ってしまった。
知らない道すぎてこわくなった。
看板やバス停で見るものでさえ知らない地名ばかり。
とにかくはやく家に帰りたかった。
無事にたどり着けてよかった…。
○
せっかくなのでいっぱい履いてあげたい。
お休みの日に出かけなくては。
黄色いマフラーも買った。
あこがれのひとのまね。
そのひとがとてもオシャレだということは確かなのだけれど
どんな服着てたかぜんぜん思い出せない。
お会いしたとき舞い上がりすぎてメモリがトんでしまったらしい。
ただ、鮮やかな黄色いマフラーを巻いていたことだけはおぼえていて
それがめちゃくちゃかわいかったので
似た色のを探して買ってみた。
巻いてみたけど、当然のことながら、わたしはわたしのままで、そのひとにはなれない。
○
キスがついたタイツが好き。(回文)
わたしはタイツが好きだ。(べつにキスはついてなくてもよい)。
カラータイツもアミタイツもガラタイツも。
スタンダードなストッキングやら黒タイツやらをのぞけば
初めて買ったお気に入りのタイツはくすんだ水色だった。
自分の脚がつくりもののように見えて、おお、と思った。
それ以来、少しずつ買い足している。
全体的な服装はオシャレでもないのに、タイツはけっこういっぱい持っている。
でもビタミンカラーっていうのかな、
あかるいピンクとかグリーンとか黄色とか、ああいうのはあんまり好きじゃない。
あとアミの目が大きすぎるアミタイツ(あまりはいてる意味がない)と
いかにもプリント、なガラの入ったやつもあんまり。
道を歩く女子たちのタイツにも目がいってしまう。
ひとがはいているので好きなのは寒色系の薄いタイツ。グレーもよい。
透け感にぐっとくる。(へんたいっぽくてすみません)。
いろんなのがあってほんとにおもしろい。
通常わたしのような非オシャレが
デパートなどのお店をうろつくのはとても勇気のいることなのだけれど
でもストッキングやタイツが置いてあるフロアはちょっと気が楽だ。
お店のひとに「よかったらあわせてみられてください」とか
「どんなものをお探しですか」とか、声をかけられたことがない。
売り場には四角くパッケージされたタイツがびっしりと並ぶ。
わたしはいろんなタイツをひとつひとつ持ち上げて見ていく。
おそらく中古レコードをあさる姿とよく似ている。レコード買ったことないけど。
今日は、サイドがラインで開いた黒のアミタイツと
四角形が並んだ模様のストッキングと
白いキラキラのアミタイツを買った。
白いタイツってとてもむつかしい。はいていいのはナースくらいじゃないか。
でも白くてもアミタイツだとけっこう大丈夫そう。
来週の友達の結婚式ではくかもしれない。
まあ、結局。最強は、素足なのだけれども。
○
駅のホームで昼間から缶ビールをのんでいる女がいた。しかもロング缶。
ベンチに腰かけて、本を読みながら。
あまりに自然にのんでいたので、びっくりしそびれた。
あとで、あれ?と思った。
いつも乗っている電車の吊り広告のところに
小学生の書道作品がずらずらずらと貼られていた。
書かれてるのは、「しんこく」とか「税」とか「電子申告」とか「自動車税」とか…。
意義は分かるけど、分かるけど。
なんかおもしろい光景だ。
電車の中で座っていたら、老夫婦が乗ってきた。
ためらいながらも、席をゆずった。
自分が座っていたい、ということではぜんぜん無くて
恥ずかしさとか、恐れとか、のためらい。
「あのう、よかったら」と声をかけて素早いへんなステップで席を離れた。
ちらっと見たら夫婦がその席に座ってゆったりしていたので、ほっとした。
わたしが降りるときになって
その老夫婦に「ありがとうございました」「ありがとね」と声をかけられた。
わたしと老夫婦のあいだには少し距離があり
わたしの耳にささったイヤホンからは大音量の音楽が流れていたのだけれども
それでも聴こえたくらいだから、かなり大きな声だったのだと思う。
いやいや、そんなたいしたことでは…。いいひとたちだ。
ありがとうにありがとう。
○
ああ、もうちょっと話したいことがあるな。
今日はそういう日だな。
でも洗濯物を干さねばならないので、ちょっとここらで一度しめます。
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