はじめての六本木

朝まであそんだのち
家に帰ってシャワーを浴びてちょっとだけ寝て
また電車に乗って出かけた。
そういえばあそんでいた友達のひとりに
「デートの前日にオールするだなんてマナー違反だよ」
と怒られたのだった。ごもっとも。

○
恵比寿のおしゃれなスープカレーのお店に行った。
スープカレー、おいしかったなあ。
年末はだいぶ気持ちがキリキリしていて、なのに毎日、
胃袋の強度を試しているかのような
ヘヴィなものばかり食べていた。
だけどこのスープカレーは、からだにしみわたって、
芯からいたわってくれるような味だった。
ああ、なんか思いのほかきつかったんやなあ、と
数日間を振り返ったりなんかしていた。
へんな話だけど、それだけでちょっと
泣きそうになってしまった。ほんのちょっとね。

初めて、六本木に行った。
話題の映画『アバター』を観た。
あの３Dのメガネは、かけるだけで
たのしげな、テンション高そうなひとみたいになる。
３Dすごかった。
わたしは青い顔のひとには感情移入できないけど、
でもそれも含めてよかった。いろいろ、おもしろかった。

六本木もまた、おそろしいまちだ。
クリスマスはすでに終わっていたけど、
まだまだイルミネーションがきれいだった。
ずっとだれかのもの、だったキラキラがすぐそばにあった。おでんのおいしいお店でのんだ。
そばに芸能人がいてびっくりした。トウキョウすごい。
ハイボールがおいしいと思うだなんて、
わたしもおとなになったものだ。

たのしくてひとりで笑いをかみころしながら
電車にゆられて帰り道。
おさけのせいじゃなく、ふわふわしていた。
わたしはまちがいなく浮かれていたのだった。

#わたしはいつもたいてい、ちょっとだけ、冷めている。
なくしてもこまらないように、
ぜんぶをもっていかれないようにしてた。
道に迷わないように、
すぐに戻れるところにいるようにしてた。
消しゴムを左手に握ったままで。
ブレーキの上に足を置いたままで。

なのになのに、このところのこの浮かれようは、なんだ。
まあ、いいかもね。
こういうかんじもいいのかもね。