2006年3月5日日曜日

春になる


春がぬくぬくと忍び寄ってきている。
ほんとなら大喜びしてはだしでそこらじゅうを駆けまわりたいとこだけど
ここのところ時の過ぎるのがはやすぎて
春の訪れすら私をおびやかすものになってしまった。
私がいくらここにとどまろうとしようとも
すっと足下の地面ごとさらわれる。
気がつくと時計の針はまわっているし暦はめくれている。
時が流れるというのは本当におそろしい。
春が来るというのは、ひとつ季節が流れるということ。
私はこわくてしかたがない。
あたたかい日差しに首をすくめ、
淡い春色から目をそむけ、
あたらしい世界の音に耳をふさいでいる。

ねぇ、こんなふうに
こわがっているのは私だけなのかな。


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こないだ名古屋に行ったときに
幸運にも小沢健二の『犬は吠えるがキャラバンは進む』
というアルバムを見つけた。
ほしくて探していたCDだったから、めちゃめちゃうれしかった。
ラッキーはいつどこでやってくるか分からないね。
このアルバム、今は『dogs』というタイトルで
再発売されている。(どうして改題されたかは分からない。)
浜松に戻る電車の中で『犬は吠えるがキャラバンは進む』、
待ちきれずに外のセロファンをやぶって歌詞カードを読んでいた。
なみだぐんでしまった。
スーツで、なんでもない電車の中で、いつものようにがたがた揺られながら
目の奥のほうを熱くしていた。
私の胸を揺さぶったのが何かっていうのは、うまく言えないんだけど
もうなんだ、とりあえず「これ聴いてみてくれ」と言うしかないんだ私は。
家に帰って聴いたらなみだぐむどころじゃなくて、
私にとってはちょっとした事件だった。

そしてライナーノーツがすごくいい。
はじまりの部分だけ載せておくね。

"犬は吠えるがキャラバンは進む"というのは僕の好きなアラビアの諺で、
正確な意味はよく知らない。
だけど例えばこのアルバムで僕が何回か言っているように
"俺という犬は吠えるのだが熱力学的キャラバンは全く無頓着に進んでゆく"
という風に考えることもできるし、
また同じくらい何回か言っているように
"犬たちが吠える時にも恐れずに僕たちはキャラバンを進めていくことにしよう"
という風に考えることもできて、
実際に僕は1日の中で
犬になった気分になったりキャラバンになった気分になったりする訳で、
では結局これはどっちでもいいいい加減な諺なのだと勝手に決めて、
多くのアラビア人や諺学者には悪いけど、この言葉をタイトルにすることにした。


キャラバンは進むし、時間だって進んでいく。
私も進むよ。
待ちくたびれてるあいつを迎えに行こう。
さあ春を迎えに行こう。春になろう。

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気がつけばもう3月。
会わなくなった人が多いけど、みんな元気ですか?
私は元気です。
ストッキングが2枚連続伝線して朝あわててコンビニに走ったり
18きっぷで長いあいだ電車に揺られてぐっすり眠り込んだり
やっぱり地下鉄にはうまく乗れなかったり…
へこんだりふくれたり考えたりしながらなんとかやっています。

人に会いたいなあ。
さみしい人もさみしくない人も、連絡待ってます。


P.S.いちばん上の写真は浜松のどこかで撮りました。はやいよね。






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