2008年1月30日水曜日

きえたくなる


「きえたくなったことがあります」

年始に先輩と会ったとき
ほろ、と出たひとこと。
「どう?最近」ときかれた返事だったと思う。
あの寒い夜でなければ
あのほろ酔いのあたまでなければ
あの整備された広小路のつめたいアスファルトの上でなければ
赤いブーツの似合うあのひとの前でなければ
出てこなかった声だった。

「ならきえてみたらええんちゃう?」
先輩は冗談みたいにそう言い放ったあと
ちょっとまじめな顔になって
たぶん一度いなくなってみたら分かるけど、
自分がいなくなっても案外仕事というのはまわっていくものなのだ
という話をしてくれた。そして
「自分がいなくてもまわりはそんなに変わらないってヤじゃない?」
と明るく笑った。
やっぱりこのひとはすごいひとだ、かなわないな、と思った。

わたしはきえるのをやめることにした。








2008年1月28日月曜日

あの場所


おぼえていますか。

写真は、大学のゼミ室の窓からみえた風景。
昨年秋の大祭のとき、ふらっと立ち寄って撮ったもの。

大学でわたしが多くの時間を過ごしたこの場所は
びっくりするくらいあのときのままで、今でもそこにある。
戻れるところではないけれど
すぐに行ける場所でもないけれど
それでもそこにあるだけで、いいような気がする。

***************************
最近。学校の統合に伴って使われなくなる校舎、のニュースをみた。
あの校舎はどうなるんだろう。とりこわされるのかな。
もしいつかあのゼミ室がなくなることがあったら、と想像すると
そこの生徒や同窓生のさみしさが分かる。

***************************
ところで。
2月1日(金)にそのゼミ室を訪ねます。
浜松にいるみなさま、見かけたらどうぞよろしく。(こちらから会いに行くかも)






2008年1月22日火曜日

今日、雪が降った。



わたしのはたらく街では初雪なのだそうだ。地面に落下する速度がはやいわりに、積もらなかった。とにかくひどく寒かった。からだの隙間という隙間につめたい空気がすべりこんでくるみたいで、どうしたって逃げられないような気がした。

夜の黒色がいつもより深い。白い息はますます白い。月が高いところでするどく光っている。

こうやって帰り道に真上をみあげるような日がある。ときどきある。つかれてなんかないけどね。さみしくなんかないけどね。
ただ今日は、「雪が降ったよ」って誰かに言いたかったかな。それだけなんだけどね。

おやすみ、明日もわたしは大丈夫。明日は大丈夫。






2008年1月21日月曜日

わたしはきっとわすれてしまうから


言っとくけど、
わたしはあなたのこと
きっとわすれてしまうと思うよ。
時間がたって
わたしはわたしの毎日を過ごして
変わってしまって
きっとわすれてしまう。

だからさ
会っていないとだめだよぜったい。
遠くても、忙しくても、お互いの様子が分からなくても、
ときどきは会っているようにしよう。

じゃないとわすれてしまうからね。ほんとに。






2008年1月11日金曜日

寒中見舞い延期のお知らせ


寒中見舞い申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします。

**********************
ご挨拶が遅くなって申し訳ない。元気です。
2008年がはじまっておりますね。
じつは喪中なので、年賀状は誰にも書かなかったのですが
新年のご挨拶に寒中見舞いを出す予定でおりました。

ところが!
なんと版画をさかさまに彫ってしまう
というミスをおかしてしまいました。
ゴムに鉛筆で下書きしてそれを彫刻刀ですいすい彫って
こうやってインクつけて紙に押しつけて離すまで
まったく気がつかなかったのです。
なんという・・・なんという・・・!(ふるえながら)

左馬(※)とか縁起がいいし
まあそれと同じ感じでごまかして
そのまま出してしまおうかとも思っていました。
※左馬について。
馬の字が逆に書いてあることから
「うま」→「まう(舞)」。
古来、舞はめでたい席で催されることから
縁起のいい招福の駒とされている。
また左馬という字の下の部分が
財布のきんちゃくの形をしており、
口が良く締まって入った金が出ないことから
富のシンボルとしての意味がある。
らしいよ。

いやしかしそんなごまかしはちょっと無理があるし
わたしはああ、彫り間違えたんだな、と思われるようなタイプなので
新年だし、やはり彫りなおすことにしました。

というわけで、寒中見舞い。
来るだろうな、と思っていた方はもうしばらくお待ちください。
欲しい、という方はお気楽にご連絡ください。