2006年2月9日木曜日

あまさに包まれる


ラムネ菓子の匂いがする。

今日一日ずっといい匂いがしている。
部屋についた匂いだと思っていたら、
外出したときもほのかに感じた。
自分のからだにもしみついている匂いらしい。
香水をつける人の気持ちがちょっと分かった。
あれは自分のためでもあるんだね。
今日は一日きもちよく過ごせた。

なにかっていうとお風呂の匂いだ。
昨日はお風呂にとくべつな入浴剤を入れた。
友達からもらった誕生日プレゼントで
このお風呂に入ると
お姫様気分になれるらしいよ、と聞いていた。
硬式野球のボールくらいの大きさで淡いピンク色。
花びらがまざっている。
お風呂に投げ入れると
しゅわしゅわと発砲するいきおいで
花びらがお湯の中に散っていく。
(ちなみにこの入浴剤はLUSHというコスメメーカーの製品らしい。
お店に行ってみたいなあ。)

そのプレゼントをもらったシチュエーションも
めちゃめちゃキュートだった。
ゼミ室でなにかやってたときだと思う。
友達から「ロッカーの○○番を開けてみて」とメールがきた。
エレベーターで降りて、小走りで見に行った。
そのロッカーを開けてみると、うっすらいい匂いがした。
ラムネ菓子の、あまい。
おまけにこの贈り主がキュートなの。
だからこの映画みたいな演出もさまになっていた。
パーフェクト。

家を開けた瞬間にいい匂いがするというのは、しあわせだね。
ここのところ私の部屋は
雨に煙草のケムリが溶けたような
にがくてしめっぽい匂いがしていた。
家に帰ってきてドアをあけたとき、うんざりするような空気だった。
(私に喫煙の習慣はないんだけど、
理由あって私の部屋は煙草のけむりで満ちていた。
その話はまたこんど。)
でも今日はちがう。気持ちいい。
ドアをあけた瞬間、ツーステップで部屋の奥まで向かいたいくらい。


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今日は学校にレポートをだしに行った。
最近情報棟はあちこちで工事をやっている。
学務のレポートボックス前の天井が開いていて
青色のコードの束が降りているのを見た。
この建物の見えないところで
こういうコードの束が四方八方へはしっていると思うと
なんだかSF映画みたいだ。
忍者はこのコードをかきわけながら移動する。
あと全然関係ないけどミュータント・タートルズのアニメも思い出した。
あれは下水道だったかな。
まあとにかく、そんなような謎の地下組織の影を感じた。
おっと、妄想が過ぎますかな。

ゼミ室に行ってみた。
かばんの中はほとんどからっぽで
やるべき課題も読む本もパソコンも持ってなかったから
何をしに行った、というわけではないけど
誰かいないかなあ…とちょっと期待していた。
ちょっとあいさつでもして帰ろうと思ったのだ。
が、残念ながら誰もいなかった。
日も落ちて暗かったせいか、いつもよりがらんとして見えた。
ブラインドの隙間から白い空が見えていた。
おまけに机の上が片づきすぎていて落ち着かない。
人のいた気配がまったくしなかった。

なんとなく椅子に座ってみた。
誰のかわからないけど、本棚にあった文藝春秋を読んだ。
これまた誰のか知れない動物ヨーチを食べながら。
(勝手に食べてごめんなさい、今度何か補充しておきます。)
ヨーチというのは
硬いビスケットに色のついた砂糖菓子がかけられたお菓子だ。
動物ヨーチは動物のかたちをしたヨーチ。
文藝春秋は就活本の中に不自然にねじ込まれていて
なんだか可笑しくて手にとってしまった。
くたびれてぼよぼよにふくらんでいたので
古いものかと思ったら、さほど前の号でもなかった。
ちょうど、金原ひとみの『蛇にピアス』と綿矢りさの『蹴りたい背中』が
芥川賞を受賞して、それが掲載された号だ。
彼女らへのインタビューや選評も読んだ。
たしかこの号の文藝春秋は、めちゃめちゃ売れて話題になったんだった。
書店に並んだとき
「自分はそんなミーハーではないぞ」、と
つまらない意地を張って買わなかったことを思い出した。
読みたかったくせに。

『蹴りたい背中』だけ、実は読んだことがある。
本屋さんで単行本を全部読んだ。立ち読み。
(とんでもなくめいわくな客だ)
あらためて読んでみると
そのときとはまたちがう感じがあって、おもしろかった。
ちょっと冷めた、というか一歩ひいたところから感じられる
おかしさが丁寧に描かれていると思う。
分かる分かる、と思うのは
私が主人公と似ているわけでもなんでもなくて
著者が誰にでもある感覚を
ひとつひとつだいじにしているからではないだろうか。

寒くなってきたし、
動物ヨーチも全部食べてしまったので、
『蛇にピアス』はまた今度読むことにしてゼミ室をでた。

帰りに本屋さんによった。
ふらふら歩きながら背表紙の並びを目でなぞっていると
気になる本が見つかって、ついつい買ってしまう。
それは行くたびに商品や並びがころころ変わっているからではなくて
行った日によって見方がちがってくる。
変わっているのは私の気分のほう。

買った本メモ。
『檸檬』/梶井基次郎
『1973年のピンボール』/村上春樹
『トッキュー!!?』/小森陽一・久保ミツロウ


まだラムネ菓子の匂いがしている。






6 件のコメント:


  1. あ!ヨーチも文藝春秋(友達に借りて返そうと思ってたのに本棚にぶっこんでしまってた)もあたしのだ!すっかり忘れてた。まあ、ガンガン食べてバッチ読んでってちょ。今日は学校行くよ。会えたらいいな〜★

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  2. >ぬっきーサン
    ヨーチごちそうさまでした。文藝春秋も。
    ああ!この日ガッコ行ってたんですね。
    行けばよかった…。

    >?サン
    ありがとう。
    メール送ったのでみてください。

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  3. エキサイトマンションから来ました。
    蛇にピアス、読もう読もうと思いつつ結局未だに読んでないんですよねぇ・・・
    そのうちきっと読もう。
    またちょくちょく遊びに来ますね♪

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  4. >ユウさん
    いらっしゃいませ☆
    訪問ありがとうございます。
    エキサイトマンションからいらっしゃったとは!レアです。
    蛇にピアス、あたしも読んでないんです〜。
    あたしもそのうち読みたいなあ。
    こちらこそあそびに行きます!!

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  5. LUSHというお店…。
    浜松の志都呂というとこにある「志都呂イオン」のなかにあったなあ。
    そのコスメメーカーのお店かどうかはわかりませんが…。
    (もう知ってたらごめんなさい)

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  6. >りかさん
    そうなんですか!!
    なんかこのあたりの人もLUSHの紙袋持ってたりするから
    もしかしたら近くにあるのかも…と思ってたんです。
    志都呂でしたか!
    こんど行ってみないと!!
    ありがとうございます☆

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