2007年5月23日水曜日

ちゃんと残ってる


いつの間にか冬が去り
あたたかさに胸が痛んだ。
春がしのびよってきていた。
出会いの中にお別れを隠して。
はじまりの中におわりを隠して。

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バレー部のみんなと、寸又峡へ卒業旅行に出かけたときの話。
わたしはずっとカメラを握っていた。
何かにつけて、いちいちシャッターを押した。
撮っておかないと、なくなってしまうと思ったから。
撮ってもなくなるのに。
ファインダー越しにみるよりも
そのままみているほうがいいに決まっているのに。
分かっていたけど、どうにかして残したいって思ったんだよ。

(でもそんな心配することなかったかな。まだおぼえてるもの。ちゃんと残ってる。)

SLに乗った。













みんなで並んで吊り橋をわたった。
雨上がりの風の強い日で、
橋がぐらぐら揺れてこわかった。
(泣いちゃった子もいたくらい。)
みんなで一歩一歩前にすすんだ。
ひどく揺れるときは
歩みを止め、手すりを握りしめ、身を固くして風が過ぎるのを待った。
風が去ったら、
またよちよちと歩きはじめた。

風が吹いているとき。
わたしはひそかに
前にすすめないこのときよ続け、
とよくないことを思っていた。






2 件のコメント:


  1. 可憐な花ですね

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  2. >パムさん
    コメントありがとうございます。
    きれいですよね、木蓮。

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