2008年12月25日木曜日

サンタの出る幕


部屋に帰ったら、サンタが煙草に火をつけながら
「遅かったじゃねぇか」とあぐらをかいていた。
じゅうたんの上にはワインの空き瓶がころがっている。
「ああ、おつかれ」。わたしはケーキの箱をコタツ机の上に置いた。
「もう終わったの」と訊くと
「いや、もういいんだ。やめた。
同業者が多くてまいるよ」。
ふはーっ。サンタは顔をしかめて煙を吐き出した。
そういう妄想をしながら走り抜けた仕事帰りの国道246号線。


朝、目が覚めると、枕元にプレゼントが―。

職場のパパたちの、サンタ準備の話をきくと
なんだかしあわせな気持ちになれた。
サンタクロースがいるって知ってる子どもはしあわせだ。

ヨメサンタ。
奥さまにもプレゼントをあげたいな、と言っているひとがいた。
すてき。
わたしが奥さまにこっそりと
「サンタの正体は、いちばん近くにいるひとですよ」とおしえてあげたい。
どこにサンタがひそんでいるか分からない、
クリスマスってすてきな日だよ。ほんとに。

ほんもののサンタの出る幕ないんじゃないかしら。


24歳女子的には、それなりに
ラブいクリスマスにあこがれたりもする。
でもまあいいのだ。
コンビニで雑誌をひととおり眺めてから
コーラとムギムギを買って帰った。
あいかわらずロマンティックはないけれど、
わたしはちょっとハッピーなのだ。ちょっとだけね。


でもゲンジツはそんなことまったくおかまいなしだぜ。
世の中きびしいぜ。
明日、がんばろう。






1 件のコメント:


  1. 小説っぽい書き出しが最高です。
    小説始めて。
    メリークリスマス。

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